歴史ナビゲーター・金谷俊一郎氏のワンポイントコラム

◆◇◆第4回


今回はちょっと小休止ということで、今回登場した様々なものについて、当時の状況などについてお話しいたします。

今回、風蘭のライバル店が陳列した食品サンプルですが、日本で最初に食品サンプルを置いた飲食店は、
白木屋百貨店といわれています。現在コレド日本橋のある場所です。
1923(大正12)年9月の関東大震災で白木屋百貨店は全壊したのですが、その後11月に白木屋百貨店の食堂がオープンしたときに
蝋を着色した食品サンプルが作られたのがそのはじまりです。
このアニメの舞台となった翌年の1932(昭和7)年には、日本初の食品サンプル会社、「食品模型岩崎製作所」が創業しました。
ここでの手法は面白く、食品サンプルを1ヶ月単位で貸し出しし、実物の食品料金の10倍の値段で貸付けるのです。
10倍だと毎日料理を作るよりも安いわけですから、この手法は大成功するわけです。

一方、ライバル店に対抗して葵たちが撮った写真は白黒写真でした。
実はこの時期にはもうカラー写真の技術はあったのですが、非常に高価なもので、街の写真館では採用されていませんでした。
そこで、1930(昭和5)年、コダック社の創業者であるジョージ・イーストマンは、
100万ドルの賞金をかけてカラー写真の簡易方法を募集したところ、音楽家のレオポルド・D・マンネスらが、安価なカラーフィルムの
製造法を考案して、コダックに入社、1935(昭和10)年、最初の近代的なカラーフィルムである「コダクローム」が発売されました。
ちなみに日本の最初のカラーフィルムはその5年後の1940(昭和15)年に小西六写真工業が発表した「さくら天然色フヰルム」があります。



最後に紅茶好きの金谷俊一郎より、雪菜がお気に入りのダージリンファーストフラッシュについて一言。
紅茶は、春・夏・秋と1年に3回、クオリティーの高い収穫時期を迎えます。
紅茶は、摘み取り時期、その年の気候、樹齢、土壌など、色々な要素によって、香りや味、色合いが変化すると言われています。
ファーストフラッシュとは、それぞれの時期の最初に摘まれる新芽のことで、ダージリンティーは特にその特徴がはっきり表れます。
今の時期ですと、春の新芽がいっせいに芽吹いた時期に摘まれるもので、春の訪れを感じさせる味わいとなります。

四季の移ろいを大切にする雪菜らしい好みといえるでしょう。

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